2008年1月24日木曜日

テレビ見るのが人生じゃないんだ

宣伝なんか自分でできる

NBCはテレビ局だから、インターネットへの進出もチャンネルを増やす行動とみればもっともなんだけど、世の中にはさらに過激な会社があったのだ。
広告だしてる本人が、自分で直接自分の宣伝をやっちゃえという話で、それが、バドワイザー作ってる米国最大の醸造メーカーのアンホイザー・ブッシュ。始めた配信会社はBud.TVなのだ。

アンホイザー・ブッシュはバドワイザーを売ってるけど、まずいことに一番のお客さん若者の間でビール離れが進んでるのです。
バドガールがクネクネしてオトコの気を引くテレビCM作っても、Tivoが普及したもんで番組は録画されてCMを飛ばされちゃうから、スーバーボールでCM流すみたいなスポーツの生中継でもなければCM見てもらえなくなってきたのだ。見てもらえなきゃ広告出しても意味ないっていうことで、テレビ局や広告代理店に払うお金は無駄金になっちゃう。でも調べてみると、一番みてもらいたい若者がCM飛ばしよりテレビそのものを見る時間が減ってきたということがわかってきたのね。

若者がテレビ見ないで何するかというと、カレやカノジョといちゃつくのじゃなくてもちろんインターネットなのです。しかもバドワイザー飲んでもらいたい21歳から34歳のワカモノの皆さんが特にテレビ見なくなって、その人たちはYouTubeを見ているんだから「ガーン、9億ドルもつぎ込んたCM、全然ハズレじゃん」ってことなのね。
cf.調査のモトはこの会社この調査結果。18歳以上の2309人の成人に聞きました...てやつ。

口コミは強いぞ

そこでアンホイザー・ブッシュは、インターネット使って宣伝を自分でやっちゃおうと考えたのだ。
インターネットを使った有名な宣伝に、2007年の春くらいにYoutubeでやたら目についた、ビキニのオネーさんがジャングル走ってどんどん走って画面いっぱいオネーさんが増えて走り回るやつとか、「ボンチキ、ワウ、ワーゥ」ってのや、ジョシュ・ルーカス似のセクシー男が泡つけたまま裸でダンスするこういうのもあるんだけど、このLynx の検索結果に沢山あるのはユニリーバ/Unileverっていう多国籍企業の男性化粧品のやつで「バイラルCM」というらしい。口コミ宣伝かな。ユニリーバは、「こんなのテレビじゃまずいじゃん」ていうセクシーでインパクトあるちょいと過激なCMを作ってYouTubeで流したのね。
このCMは「やったね!」というほどの期待通りの効果になって、Youtube見た人が沢山のサイトで紹介して口コミでどんどん広げたから、一時期はYouTubeを見るたび必ずページのどっかにこのCMがあるほどだった。こういうのやこういう日本語版のもあるのだ。ジャングル走るオネーさん軍団のCMは、2006年の夏に世界おもしろCMランキングに載ってたからオンエアされたCMかもしれない。このサイトも動画載せてて一瞬注目あったけどYouTubeにはなれなかった。

広告だしてる会社が自分で宣伝はじめちゃうっていう方法を、ブランデッド・エンターテインメントというらしい。なんか気取ってるけど、呼び名ができるほど注目されてるってことみたい。このブラエタってのは、映画の中で格好よく商品を見せびらかして宣伝するのもいうらしい。もっともこっちは、ちゃんとプロダクトプレースメントという呼び方もあるようだ。

ミスター&ミセス スミス」でマシンガンの弾を止めちゃうサブゼロの冷蔵庫や爆破操作のパナソニックのタフブック、アンジーが持ってるティソ T タッチプラダを着た悪魔のスターバックスやiMac、スタバはデンジャラス・ビューティーでも出てきたのだ。

映画に出てくるのはなかなかいいよね。小物なんか特に...続き

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2008年1月16日水曜日

大きいことはすごいこと、ベンチャーなんか吹けば飛ぶ

販路は人に頼らない

2007年。夏まで、AppleのiTunes Storeで売られていた米NBC Universalのテレビ番組が、9月1日から姿を消してしまった。
契約更新のときにNBC側が前の2倍以上の4.99ドルの販売価格にしろといったもんで、結局折り合いがつかなくて契約が打ち切られたらしい。iTunes Storeは、ABCやCBS、FOXなんかのそのほかの局とは前のままの販売価格1.99ドルの契約をしたんだけど、なんといってもNBCの番組は人気番組ベスト10の中に3つ入るほど目玉商品が多かったし、おまけにiTunesで売られているテレビ番組の30%もあったんだからキツイよねぇ。

NBCはiTunesから引き上げた自分とこの番組を、9月10日からAmazon「Unbox」で配信すると発表したのだ。ついでに「HEROES/ヒーローズ」とか、Chuck、 Journeyman、Life、30 Rock、新シリーズのバイオニックウーマンのパイロット版をAmazon「Unbox」のユーザに無料公開しちゃった。NBCの番組はテレビで放映された番組は次の日から見られるようになる。値段は1作品1.99ドルでiTunesと同じ、しかもフルシーズンのパックなら30%引きになるという気前の良さ。値段が上がらないからiTunesの契約を断ったなんて嘘っぱちだよねぇ。

これだけじゃなくて NBCはそれまでYouTubeで宣伝ビデオを見せてたんだけど、それを削除したって10月22日に発表した。YouTubeには2006年6月からNBCの公式チャンネルをのせて、ドラマや「Saturday Night Live」「The Tonight Show」みたいな看板番組の予告や宣伝ビデオをみせてて、逆にYouTubeに投稿された動画を「The Office」の中で紹介して「相互宣伝のモデルだ! すごいじゃん」ていわれていたのにあっさりやめちゃった。つまり全部アマゾンでみなさいってことになるわけね。

NBC UniversalがiTunes StoreやYouTubeとの契約しなくてよくなったのは、実は News Corpてとこと組んで動画サイトを立ち上げて、自分でインターネット使ったコンテンツ配信やろうとしている計画があるのだ。
その新サイトHuluは、「YouTube対抗」サイトといわれているらしいけど、ちゃんと編集された番組を10分で切らないで流すんだからYouTubeよりすごいんじゃないかな。YouTubeどうするかな。Rocketboomみたいになっちゃわないかな。アマンダ・コンドンいなくなちゃったし。アンドリューいさかいしちゃだめだよ。でも株を49%も渡したのは気前いいよね。

Huluは、2007年10月29日オンラインビデオサービスのベータ版を公開して会員を集めはじめた。これがものすごい徹底ぶりでホンマカイナと思うほどなのです。
Fox ネットワーク、MGM、Sonyピクチャーとも提携したから、 NBC/Universal、FOX、MGM、Sony Pictures Televisionのハリウッド4大スタジオが参加することになってこりゃもう独り占め状態だ。残ってる大手はワーナーブラザーズとパナマウントじゃないの。
でも目が ($_$)になってるNBCは物足りないらしく、だめ押しに BNET、Bravo、CNET、Comedy Time、E! Entertainment Television、Ford Models、Fox Atomic、Fox Reality、FX Networks、FUEL TV、G4、Golf Channel、IGN、Movieola、National Geographic、Oxygen、SPEED、Sundance Channel、Sci Fi Network、The Fight Network、The Style Network、X17 Online、USA Network、Versusなんていう全然覚えられないほどのケーブルテレビと配信の話をつけたのだ。ゴルフ、野球、バスケット、アメフトなどのスポーツチャンネルをごっそり集めたから生中継でワクワクして見る番組も盛り沢山なのだ。生中継なら「Tivoで録画してCM飛ばし」は押さえられるからね。
こんなに集めてどうするのって心配があるけど、Huluは集めに集めた動画を、配信パートナーのAOL、Comcast、MSN、MySpace、Yahoo!などを通してインターネットで配信しちまうのである。cf. Investor's Business Daily

つまりNBCは、もともとテレビ局で映画会社だっんだけど、映画や放送だけでなくてインターネットでも自分の番組や映画を自分で配信するつもりになったということなのね。いままで溜め込んだから資金力はあるし、映画とテレビ界では影響力はバッチリだし、そこらの新興のベンチャーじゃ全然できない大規模な立ち上げをするつもりになったのだ。
ハリウッドをほとんど押さえて、テレビネットワークを2つもおさえて、CATVが蓄えてたスポーツやドキュメンタリー番組を押さえて、これからの生中継も押さえて、こりゃとことんコンテンツを集めて商売するつもり以外ないじゃないの。

インターネットビジネスで一般的だったモデルは「小さく初めて大きく育てる」だったけど、Huluは、「でっかく初めてがっぽり稼ぐ」って手法で真正面から「圧倒的」戦略をぶつけてきたのだ。新興ベンチャーでない、従来型のビジネス文化を持った企業から生まれた Huluがインターネットで成功すれば、「そうか、そういうのがあったか」と資金豊富な大企業が同じやりかたでインターネットに参入してくるのは当たり前っちゃ当たり前だから、こりゃえらいこっちゃ。

「Huluが成功する可能性は低い」と見ているアナリストの意見もあるけど、資金と人材はベンチャー企業の最初のハードルだから、それをすでに持っている大企業がどのようにビジネスを進めるか、ベンチャーの活気を持ってインターネットで先行し展開している YouTubeVeoh Videoなんかが、お金持ちじーさんベンチャーにどう対処するのか、買われちゃうのか、ユーザはどう見てどう動くか、こりゃしばらく眼が離せない。

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