テレビ局の稼ぎかた
昔々のテレビ局は、放送電波をお上から預かって、テレビ塔やスタジオやカメラなどの放送設備を整えて、青島幸男や永六輔さんたち放送作家を集めてシナリオを書いて、タレントや芸人を集めて番組を作るところからビジネスを始めた。はじめの頃は「シャボン玉ホリデー」、「夢で合いましょう」、「お笑い三人組」、「ジェスチャー」、「ごろんぼ波止場」などのバラエティー番組はスタジオで作って生放送だった。それだけじゃなくて「事件記者」、「バス通り裏」などのドラマも生放送だったのだ。おまけに「てなもんや三度笠」、「とんま天狗」みたいな公開生放送もあってテレビ番組は「生」放送のほうが多かったのだ。「生」ってのは録画しないでやってるのをそのまま中継して放映しちゃうってやつだから間違えてもそのまま流れちゃうので緊張感があるのだ。ドリフターズの「8時だよ!全員集合」シリーズだって公開生放送だった。
当然、生だと台詞を覚えられない役者さんは当然使ってもらえなかった。歌番組だって生放送じゃ下手な歌手はだしてもらえなかった。いまこれをやったらアイドル歌手なんて全滅かも。でもちょっと前と比べてアイドルもうまくなったよねぇ。
「ジャガーの眼」や「少年ジェット」や「怪傑ハリマオ」や「ウルトラQ」なんかの野外ロケ番組はフィルムで録画されたけど、画像は荒くて14インチ程度の白黒テレビで見るのは今の YuoTubeよりもオボロげで不鮮明だったけど格好よくてヒーローだった。画面が砂嵐に巻き込まれても、みんなテレビという新しい娯楽に眼を輝かして見続けていた。
新聞が紙面のスペースを広告向けに売ってお金を稼ぐように、テレビ局は放映する番組の間に入れる広告の時間を売って収入を得ているのだ。
小さな箱の中で動くテレビ番組はあれよあれよという間に人々の注目を集めて、話題になり流行を作るようになると、テレビで流せる広告は「テレビでやってる!大したもんだ」と思われるようになった。そして、テレビを使った宣伝はテレビを見た人が宣伝してる商品を思わず買ってしまうみたいな効果があると評判になった。しかし、誰でも時間は24時間しかなくて、「えへん」とイバリだしたテレビ業界も同じなのだ。だから、テレビCMを出そうという会社が増えても時間は多くならなくて、おまけに電波の割当の事情でテレビ局の数が増えないので、需要と供給のバランスでCMの枠は売り手市場になった。もう、頼まれても頼まれても金をいくら積まれても流せないものは流せないテレビ業界は、またたく間に強固な帝国を築くことになっちまったのだ。
当然、メシの種である広告枠はどんどん値が上がって、テレビに払われる広告費はこの20年で約2倍の2兆円を超えるまでになったのである。
平成19年度3月期の決算から、各社の売上高、経常利益を比較してみるから平均年収にオソレオノノクように。

フジテレビはお台場事業、TBSは赤坂再開発の収入が含まれている。
参照:フジテレビ、日本テレビ、TBS、テレビ朝日、讀賣テレビ、松下電器産業。
番組制作に、テレビ局 -> 下請け -> 孫請けの構造があるんだけど、製造業や普通のサービス業とは全然稼ぐやり方がちがっていて、抜群の利益率になってるのがテレビ業界なのだ。利益率でこれに勝てるのはGoogleやソフトブレーンみたいなIT企業しかないんだけど、IT関連は最近のこと。テレビ業界はもう50年もそうだからオッドロキーなのである。
そのテレビ業界に2兆円以上の金額をテレビ広告費として払い支えているのが広告主である。
日本の広告主はなかなか鷹揚で、「あっ、そう、いくらかかったの。すぐ払うよ」なんていう人の良い大店の旦那衆のようなところがあるのだ。だから、テレビ局も広告業界もムシり放題ムシッてきたのである。
でも、最近コストパフォーマンスに厳しい米国の広告主の中に新しい広告の潮流が生まれはじめた。アメリカの企業だけでなく、トヨタなどのアメリカでテレビ広告流している日本の企業もアメリカでは宣伝効果にはうるさくなっているのだ。
その引き金になっているのがインターネットなのだ。
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